行政学演習Bレジメ    

熊本真一、中澤匠、磯加奈子、鈴木邦江、田仲純子

 

郵政三事業について生の意見が聞きたいと思い、質問要綱をつくり宇都宮東郵便局に行ったが、すぐには回答ができないと言われ、明日11月13日(火)に返答があるので今回はそのときの質問要綱をそのまま載せた。

 

 

年末の近い、お忙しいこの時期にお時間を割いていただき、誠にありがとうございます。

さて、私達は行政改革についての研究をしているのですが、最近は特に郵政三事業についての興味、関心が深まってきました。そして、現在は郵政三事業民営化についての研究を行なっています。研究をしていく中で、文献などを読みこんでいたわけですが、現在郵政事業に関わる方の実情、そして郵政事業、とくにその民営化についてどのように思われていられるかについての資料が大変乏しいことに気が付きました。

 そこで、実際にインタビューをさせていただく形でその点についての知識を深めたいと思ったのです。公式的見解はもちろん、できましたら実際に郵政事業に関わる方々の生の見解をお答えいただければ嬉しいです。

 

郵便事業について

@そのような状況において郵便局はどのような戦略をとりうるのでしょうか?

A過疎地域などでは採算の取れない郵便局がでてくる可能性は?またそれに対する対策はどのようなものがありますか?

Bそのうえで郵便局のネットワークの維持は可能ですか?

  1. 今までにあった信書問題のトラブルはなにがありますか?
  2. また、「信書における秘密の確保」は国営の郵便局の独占とどのような関係があるのですか?
  3. 信書輸送の自由化についてはどう思われますか?

郵便貯金事業について

  1. 郵貯を自主運営する場合、それをどのようにお考えですか?
  2. また、自主運営に際して、宇都宮東郵便局はどのように関与するのですか?
  3. また、集まったお金を外部企業に運用することも考えられます。その際の情報公開についてはどのようにお考えですか?

簡易保険事業について

  1. 簡易保険のメリット・デメリットを教えてください。加えて、民営化された場合、そのメリット・デメリットの変化は起こるのでしょうか?

 

 

その他

  1. パーセントで表すと?
  2. 各事業の民営化についての御見解をお聞かせください。公式的見解ではなく、お答えいただける方の率直な気持ちを望みます。

 

 

質問にお答えいただき本当にありがとうございます。このご意見を大切に、研究の資料として私たちもがんばります。

 

 

 

民間参入による郵便事業の活性化

ヤマト運輸株式会社 代表取締役専務 越島国行さんの話し

 

  1. 大幅に悪化する収益構造

郵政事業が赤字に転落した原因

      1. 郵政省が郵便事業について活発に手をうっている。大口割引を積極的に拡大し、結果単かが下がって行く、という施策のため。したがって今までと同じ数量を売り出しても、収益は減っていく、ということになる。
      2. 民間との競争のため、様々なサービス改善を行なっている。そのサービスが印鑑の追随ということに問題はないかもしれない。しかし、サービスアップは全てコスト増を伴っていて、それに見合うコストダウンはできていない。1998年度は625億円の赤字である。これをどうにかするために、おそらく郵便の独占文やである信書域での料金値上げが行なわれるだろう。

 

 

サービス改善例

・1995年5月11日  小包の配達サービスを改善

 夜間配達、日曜・祭日も配達するようにする。再配達時間の、午前・午後・夜間の指定を受けるようにする。

従来の書籍小包とカタログ小包、様々な条件は緩やかな方に合わせ、料金は安い方に会わせるようにする。

・1993年3月  一般小包の再々取扱重量の拡大

 16kgから20kgまで拡大

 配達時間指定サービス開始

 

チルドゆうパックを例にとると「冷やしたまま送る」というサービスではヤマトの「クール宅急便」が全体の8割。郵便のチルドゆうパックは約1割。そして日通のペリカン便もまた約1割、というシェア率になっている。

 

 

.民間でもユニバーサルサービスを展開できる

実際、ヤマトのサービスと郵便のサービスを比較してみると、郵便配達が行なわれていない場所がいくつかある。それに大して、そのような地域にはヤマトが採算は合わないが配達に行ってくれる。過疎地や遠隔地を含めた全国ネットワークがあるということ、それがヤマトの強みである。この現状から、少なくても、郵便が民間にまかされても配達は確かに行なわれるといえるだろう。

 

 

 

 

・国際郵便に関しても民間は郵便の低料金にとても太刀打ちできていない。そしてこの分野に関して収支はいつも黒字である。郵便事業が民営化されてもヤマトはこの分野に参入するかどうかはまだ未定だという。

 

文書、インターネット等を通して郵政三事業について調べながら、その様々なメリット、デメリットに触れることで基礎的なことは掴んでこれたと思う。しかし、そこで思ったのはその可能性ではなく、必要性についての思索が足りないのではないかということだ。我々市民にとって、または、郵政事業にとって、そして国家自体にとって郵政三事業の民営化は必要なのか?民営化をしたところで、それぞれの何が変わるのか。それについて学んではきたがそれがもたらすであろうリアリティのある想像ができないところに我々の研究の欠陥が見えてきた。そしてその欠陥を埋めるためのインタビューに力点を置いた研究がこれからの課題だと思う。

現在までの感想

栃木銀行にいってみて、民営化はまだ現実的な話ではないのかなと感じた。しかし、銀行側としては小口の預金者、融資先は大事にしたいといっていた。その意味で郵貯と競争したいという気持ちは強いと思う。

              栃木銀行での質問

Q1銀行にとって小口の客は大事ですか?

A1小口のほうが多い。50%以上小口です。小口のお客のほうが安定している。

 

Q2銀行にとって定期貯金はできますか?

A2できない。

 

Q3銀行は今後郵貯ATMとの提携は発展しますか?

A3発展する予定。今後は入金もできるように考えている。

 

Q4人口の少ない地方に出展は可能か?

A4不可能。逆に朝日銀行、秋田銀行などは宇都宮からの撤退予定。

 

 郵貯にとって今後必要なのは運用能力の強化と国民が運用能力をみて選べるほどの運用部分の思い切った情報公開の義務化というよりその点こそが商品として価値があるという方向へ方向転換していくことが消費者の利益という点において有益ではないかと思う。その点から郵貯民営化を考えると、郵貯が今後どの程度情報を公開してくるか。どの程度運用に責任を負える人材を育成できるかにかかっていると思う。